絆
ついに奈落との闘いに終止符を打つ時が来た。
やっと追い詰めた。今日こそ・・・今日で決着をつけてやる。
「行くぞ!」
犬夜叉の声に皆、力強くうなずいて歩きは始めた。
もう、奈落の結界の中。深く霧が立ち込めていて、行く先は真っ白で何も見えない。
______とうとうここまで来たんだわ。
この闘いが終わったら・・・
奈落を倒したら、犬夜叉は______
頭の中に不安がよぎる。
今はそんなことを考えている時ではない・・・頭をブンブンと振って思いを断ち切ろうとする。
そんな彼女に気づくと、優しく微笑んでそっと唇を寄せた。
「大丈夫だ。お前は絶対俺が守ってやる」
「・・・うん」
______ありがとう、犬夜叉_____
そして微笑みあい、力強く歩き出した。最大の敵奈落のもとへ。
「来たか、愚か者ども。かごめ・・・あの女は邪魔だ。
犬夜叉、貴様にもう一度裏切られる苦しみを味あわせてやろう」
「気をつけろ!霧が濃くなってきやがった」
仲間に声をかけるが返事がない。
「しまった。はぐれたか。・・・・・・・・・・・・かごめ!!」
不安が頭の中をよぎる。
そこに霧の中から人影が現れた。
「誰だ?・・・・・・・・・・・・・桔梗?」
「犬夜叉、お前達もここまで来ていたのか・・・お前ひとりか?」
「ああ、いつのまにかはぐれちまったみたいだ。とにかく先へ進もう」
2人は黙ったまま歩き出した。
あれほど望んでいた2人きりの時間。話したい事は山ほどあったはずなのに・・・
何故だろう?言葉が何も出てこない。
どれくらい歩いたのだろう。霧のせいで感覚がよくわからない。
また、ひとつ人影が見えてきた。
「あれは・・・・かごめ!」
「あ、犬夜叉。無事だったんだね、よかった。・・・・・・・・桔梗?」
「ああ、そこで会った。」
「そう。弥勒様達は?」
「まだ、見つからねぇ」
「そっか・・とにかく先へ行きましょう」
「ああ、そうだな」
_______何だろう?この違和感は?
しかしこれはいつものかごめの匂い・・優しい匂いだ
何か変なのは、やっぱり俺が桔梗といたからか?_______
「ねぇ、まだ皆の気配とか感じない?」
「ああ、まだだ」
「そっ」
______やっぱりだ。いつもならかごめが隣にいてくれれば安心する。
だが、何だ?この嫌な気分は________
犬夜叉はそっとかごめから離れて桔梗の傍へ行った。
「なぁ、かごめおかしいと思わねぇか?つまり、その、本物だと思うか?」
「さぁ、私には邪気などは感じられないが」
「そうか・・・桔梗が何も感じないなら俺の思い過ごしだろうな」
_____でも、なんか変だ。イライラする。
何故かごめが傍にいてくれるのにこんなにイライラするんだ?_________
思い切って聞いてみた。
「なぁ、お前本当にかごめか?」
「何馬鹿なこと言ってるの?・・・・・あーーまさか私が偽者だと思ってるわけ?」
「いや、そうじゃねぇけど・・・」
「なら、なによ!もしかして桔梗と2人きりのところ邪魔されて言いがかりつけてるの?」
「ばっ!そんなんじゃねぇ」
「じゃぁ、なによ」
_______やっぱり、俺の思い過ごしか?______
「なに黙ってるのよ!」
________違う______
「もう、いいだろう?ここで言い争っても仕方のないこと。先へ進むぞ」
そう、桔梗が言い終わるのと同時に
「やっぱ、てめぇはかごめじゃねぇ!!」
そう叫ぶと 鉄砕牙に手をかけた。
「何よ、私を殺す気?」
かごめも弓に手をかけた。
「ふっ、やっぱりな。てめぇは絶対かごめじゃねぇ!」
そう叫ぶと思いっきり刀を振り下ろす。あっという間の出来事だった。
かごめだと思われていた「それ」は不気味な叫び声と共に消えていった。
「畜生、偽者だとわかっていてもこの手でかごめを切っちまった。胸くそわりい」
そう言って鉄砕牙をしまう犬夜叉に
「何故、偽者だとわかった?この私でさえ見抜けなかったというのに。
それに、もし本物だったらどうするつもりだった?」
「あ?なんとなくだ。なんとなく違うって思った。もし本物のかごめだったら・・・・わかんねぇ、絶対に違うって思った。
だから、切った」
_______なんとなく、か。
私にはわからない________
「畜生、前が全然見えねぇ。早く皆を見つけなければ」
自分のところに偽者が現れた。と、いうことは、他の仲間達のところにも偽者が現れているかもしれない。
「落ち着け、犬夜叉・・・・・・・・・・・・・・あそこに誰かいるぞ」
桔梗の指差すほうを見ると、そこにはかごめがいた。
_______あれは本物のかごめか?
隣にいるのは・・・俺だ!あれは俺の偽者か。
かごめが危ねぇ__
走り出そうとする犬夜叉を引き止めたのは桔梗だった。
「何しやがる。離せ桔梗。あれは俺の偽者だ」
「わかってる。だが、お前には見えぬか?この結界が・・・あそこには行かれない」
「なんだと?・・・畜生!かごめ!!そいつから離れろ、かごめ!!」
________やはりあの女が心配か。
この私が見抜けなかったのだ。あの女にれが偽者の犬夜叉だと気づくはずが無い。
ここで見せてもらうぞ。おまえの犬夜叉への想いがどんなものかをな_______
「よかった。急に皆いなくなっちゃうんだもん」
「ああ、もうここは奈落の結界の中だからな」
「早く皆を探しましょう」
「ああ、そうだな」
「・・・・・・・・なんか、怒ってる?」
「んなわけないだろう?」
_________そうだよね、怒らせるようなことしてないし・・・
でもなんか機嫌悪そう・・・ていうか隣にいると緊張しちゃうな。何でかな?_________
「どうした、具合でも悪いのか?」
「え?ううん、何でもない。大丈夫だよ」
_______やっぱり、いつもの犬夜叉だ。よかった_________
嬉しそうに笑うかごめを遠くから見つめる犬夜叉。
「かごめ、俺はここだ。」
________わからねぇのか、そいつは偽者だ。奈落の罠だ。
畜生__________
握った拳から血が滴り落ちてくる。
_______ここで見てるしかできねぇのか________
結界の向こうでは楽しそうに自分を見つめ、優しく微笑んでいる愛しい人がいる。
でも、その笑顔は自分であって自分でないものへ向けられたもの。
__________かごめ、気づいてくれ・・・・・俺は、ここだ__
「弥勒様達見つからないね。無事だといいんだけれど」
「ああ、あいつらなら大丈夫だろ」
_______まただ。なんだろう?この気持ち。
いつもとどこか違う・・・いつもと・・・まさか偽者?__
「皆一緒ならいいんだけれど、もし七宝ちゃん、一人きりだったら・・・」
「あいつも妖怪だ。自分でなんとかするだろ?」
_____違う!これは犬夜叉じゃない!
でも、もし本物だったら・・・________
半信半疑のまま確かめるように弓をかまえた。
「あなた、誰?」
「何馬鹿なこと言ってやがる」
しかし、かごめの弓に気づくと、素早く腰の刀に手をかけた。
________やっぱり!______
「あんたは、犬夜叉じゃない!!」
「なに?やめろーー」
弓を射る。そいつもまた不気味な叫び声と共に消えていった。
結界が消える。犬夜叉は急いでかごめのもとへ駆け寄った。
「大丈夫か?」
「うん!」
_________隣にいると安心する。
そうだ、この暖かい感じ。
今度は本物の「かごめ」
「犬夜叉」だ。_______
ガサッ
「何故あれが偽者だとわかった」
「桔梗?(なんでここに)・・・・・・なんとなく違うって思ったの。
なんとなく、犬夜叉じゃないって」
________なんとなく・・か。
私にはわからなかった。なのにこの2人は・・・・
これが奴らの絆なのか__________
晴れていく霧の向こうで、こちらに向かって手を振る仲間が見える。
無事だったのね、と嬉しそうに走っていく娘。
その後ろから優しく見守る愛した男。
奴のあんな優しい顔は見たことがない。
私といる時はいつも拗ねた悲しい瞳をしていた。
それでも私はそれを癒していけると思っていた。
だが、仲間とふざけあい、笑いあっている姿、あれが奴の本当の姿なのだろうか?
私にできたであろうか?
前を見れば無事再会した仲間達と戯れる犬夜叉の姿が見える。
あんな、活き活きとしている姿を見たことがなかった。
あの時、共に歩んだとしてもあのような表情は見ることができなかっただろう。
_________私は自惚れていたのかもしれないな________
犬夜叉がなにやらかごめに耳打ちしている。
何を言ったのだろう?2人とも真っ赤な顔をしている。
「おすわりーーーー!!」
かごめの叫び声と地面につぶれている犬夜叉。
あきれた顔で先へ進む法師達。
「この・・・待ちやがれ!」
これから奈落との闘いが待っているというのに。
きっと奴らはとても強い信頼という絆があるのだろうな。
________ふっ、よかったな、犬夜叉。
私もやっと決心がついたぞ。
自分の行くべき道がわかったから_________
そこには何もかも吹っ切れたすがすがしい顔の巫女がいた。
________私も行こう。宿敵奈落を倒しに。
お前らと共に__________
__________なぁ、かごめ・・・あのな・・・・・その・・・
この闘いが終わったら、なんだ・・・俺の・・・子___________
_________な、、なに言って///////
[おすわりーーー]
もう、信じらんない。こんな時に・・・・馬鹿____________
すみません。こんな駄作。
前に、なんとか丸く修まる最終回ってないかな?と考えた時に思いついたもので、
何とか桔梗に納得してもらって犬かごを認めて欲しかったんです。
頭ではいろいろ考えても文にするとなると・・・難しいですね。
ながながとお付き合いしていただいてありがとうございました。:作者談